木村 芳孝
Title   名誉教授,医師,医学博士
Institution   東北大学
Department   医学部/医学系研究科
Adress   東北大学病院
青葉区星陵町1-1

Professor's Comment

現在日本では、年間約100万人の赤ちゃんが生まれています。 日本の医療水準が上がりお産は安全なものと考えがちですが、このうち30万人の赤ちゃんがお母さんのお腹の中で具合が悪くなる状態(胎児機能不全)になり, 3000人の赤ちゃんが重症化しています。 この重症化した赤ちゃんは、不幸にして亡くなったり、後に脳性まひや新生児腸管壊死などの大変重い障害を残したりすることになります。 10人の内3人に何らかのトラブルが起きていることになります。 また、発病率でいうと後遺症の内もっとも重い脳性まひの発症頻度は、50年前とほとんど変わっておりません。 むしろ未熟児出産の増加により、少しずつ発生率は増えてきております。 確かに、超音波の発達は産科の医療を大きく変えました。 しかし、超音波の発達した現代でも、お産の安全性は砂上の楼閣のように危ういものなのです(図1)。

これに対し、再生医療を中心とした生命科学が著しい発展をとげ発生や分化という赤ちゃんに関連した領域で多大な知識が蓄積してきています。 また、コ ンピュータを含めた情報理論が急速に進歩してきました。 胎児がどのような状態でいるのか、はたして順調に育っているのかを調べ胎児機能不全のために起こる脳出血や心不全などの重症疾患を予防、 治療する方法を、生体情報工学や分子生物学の知識を駆使し遺伝子レベルから研究するのが本研究室の目的です。

本研究室の主なテーマは3あります。 1) 「胎児の状態を調べる新しい計測技術である胎児心電図の開発とその応用(最先端生体情報工学の胎児医学への応用)、 2) 胎児機能不全の遺伝子解析(分子生物学の胎児医学への応用)、 3) 胎児心不全、胎児脳障害の予防と治療(バイオインフォマティックスの胎児医療への応用) です。 研究の具体的な内容 1 と 2 を中心に詳しくご研究内容で紹介したいと思います。



Professor's Data


出身大学 東北大学医学部
専門分野 周産期医学、胎児生理学,生体情報工学
経歴
1994 東北大学医学部付属病院 助手
2000 東北大学医学部付属病院 講師
2002 New York University Medical Center (Ob/Gy) 研究員
2004 東北大学医学部 先進医工学研究機構 教授
2008 東北大学国際高等研究教育機構 国際高等融合領域研究所 教授
2012 東北大学大学院医学系研究科 障害科学専攻 機能医科学講座 融合医工学分野 教授
東北大学大学院医工学研究科 近未来生命情報工学分野 教授
2019 みやぎ県南中核病院副院長
東北大学 名誉教授
東北大学大学院医学系研究科 客員教授
東北大学大学院医工学研究科 客員教授
所属学会 日本産科婦人科学会
日本周産期新生児医学会
日本DOHaD研究会
胎児心電図研究会
日本母体胎児医学会