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胎児心電図研究会とは
胎児心電図研究会の目的


  本研究会は、胎児心電図の研究を通し周産期医学の進歩・発展をはかり、会員相互の連絡・交流・協力を促進することを目的とし、胎児心電図装置の橋渡し研究の広報と共同研究の情報サポートセンターの役割をになって居ります。

  すなわち、今回新しく開発した胎児心電図の研究状況や標準値を公開し、より多くの方に本研究に関心を持っていただき、また、正しい情報を知っていただくことが目的になります。

会長挨拶


  児の健全な発育を願うのは全ての親の願いである。最近の医学で明らかになったことの一つに、児の発育・発達そして成人になってからのメタボリック症候群をはじめとする種々の疾患の発症に胎内環境悪化による胎児の発育不全などが関与すると言うことである。従って、母親のもならず我々医療者は胎内環境を最適にする義務を負っている。

  母体の状態、胎盤機能など種々の状態が胎内環境に影響し、胎児はそれに反応したサインを我々に送っているはずである。しかし、ME機器が発達した現在においても我々は胎児の訴えを十分に捉える手段を持ってはいない。この意味で胎児心電図を連続して観察できるというのは大変意義が深いことである。心電図は成人でそうであるように、単に心臓の異常を見ることのみではなく、胎児心電図の観察は胎児生体反応を表す自律神経系をみることも可能とし、分娩のストレスへの対応、出生後へ向けた処置など、臨床的にも多くの可能性を広げるものである。

 本研究会は最終的な児の健全な発達を望む中で、胎児心電図の知見を蒐集し、臨床応用を目指すものである。多くの方々に興味を抱いて頂き、理解を深めて頂き、わが国でそして国際的にも十分な評価を頂くことを心から期待している。


胎児心電図研究会 会長

岡村 州博 




胎児心電図研究会発足にあたって


  現在日本では、年間約100万人の赤ちゃんが生まれています。日本の医療水準が上がりお産は安全なものと考えがちですが、このうち約30万人の赤ちゃんがお母さんのお腹の中で具合が悪く(胎児機能不全)なり、約3,000人の赤ちゃんが重症化しています。この重症化した赤ちゃんの中には、不幸にして亡くなったり、後に脳性まひや新生児腸管壊死などの大変重い障害を残したりすることが有り、今でも深刻な問題となっています。

  確かに超音波技術の発達は産科医療を大きく変え、お腹にいる赤ちゃんの様子を簡単に見る事が出来るようになりました。また、分娩監視装置が普及し新生児死亡率は改善しました。しかし、重症な後遺症である脳性まひなどの頻度は50年前とほとんど変わらず、むしろ早産の増加により少しずつ発生率が増えてきております。

   もしお腹の中にいる赤ちゃんの具合をより詳しく診断出来るのなら、救える命はもっとたくさんあるに違いない、日々新しい命と対面するお産の現場で働きながら、胎児心電図計測装置を開発してきました。この装置は、お母さんのお腹の中にいながら赤ちゃんの心電図を測定出来る装置で、赤ちゃんの具合(心機能不全かどうか、低酸素状態ではないか、など)を診断し、妊娠、出産時のリスクを軽減するために赤ちゃんの予後の予測が可能となることが期待される装置です。

  今後この胎児心電図研究会を通じ、日本各地でお産の現場でご活躍されている先生方と共に様々な情報交換を行い、一人でも多くの命を救うため、日本各地のお産の現場にこの胎児心電図計測装置を普及していきたいと考えております。 真に役立つ医療機械の橋渡し研究を通し将来の日本の医療をよりよいものにしていくため皆様の支援を宜しくお願い致します。 


東北大学大学院医学系研究科
客員教授

木村 芳孝